2019.10.07 04:24風船、飛んでかないで|やまえじ たまに大和は突拍子もない行動をする。 言葉より行動のほうが速い人だから、あとで理由を聞いてようやっと納得できる行動がちらほらあって、今日もとつぜん部屋に入ってきたと思ったらベッドのうえに連れていかれて、後ろから抱きしめられたまま数十分経つ。 お喋りするのもスマホを見るのもOK。でもこの腕から出るのはNG。一...
2019.09.15 03:12ひとみを燃やして|やまえじ 兄を倒すのだと、ぎらぎらとした燃えるような太陽のいろが、印象的だった。 出会って間もないころ、グループ内での挨拶で、話せる範囲で、ここにきた経緯を伝えあった。まだ慣れていないシオンは到底話せるような状態ではなかったから瑛一が代弁していた。「兄さんと父さんに誘われて……。でも歌うことは好きだから、やるなら全力で挑みたい...
2019.09.06 17:43やまえじ 「すきだな、大和のこと」 出会ってまだ間もない頃、レイジング鳳が用意したレッスンのためイギリスに滞在していたころ、瑛二にそう言われたことがある。前後で何をしていたかはもうよく覚えていなくて、公園にいて、周り一面にあった緑と瑛二の髪が、さらさらと強い風で靡いていたのだけは記憶に残っている。 当時は、本当に出会...
2019.09.01 10:37Yes,my dear.|鳳兄弟 父と兄にアイドルにならないかと誘われた。 まだ物心のつきあじめたばかりの瑛二にも、父と兄がアイドル活動における目的を違えているのは明確に理解できた。 父はことあるごとに復讐ということばを口にし、瑛二どころか瑛一のことすらもまともに見えていないようだった。父にとって息子たちはライフルの銃弾のようなものだ。見分...
2019.08.28 17:07なんてことない二重唱を|やまえじ 撮影が終わり、楽屋に荷物を取りに行き、そのまま次の仕事場に向かおうとビルのなかを歩いていたら急にふは、と瑛二が息だけで笑った。次の現場のスタッフさん誰がいるっけ、とか、今日の夕飯どうしようか、とか。話していたのはたわいのない、突然ふきだすような理由は少なくとも大和には見出せない内容だったので、思わず、なんだよ、と語気が強めにな...