2021.04.13 07:40半分が昇る空|とおまど 数分前にレジに並んでいた浅倉は会計を終えたらしくドアの先でコーヒーを飲みながら待っていた。樋口も常備しているのど飴と、ホットココアを買ってコンビニを出た。「お待たせ──……、何」「あんまん」 手渡されたのはさきほど店に入った時に「うわ、でかい」とそんな驚いてもなさそうな声で浅倉が見つめていたビッグあんまんというものだった。通常売ってある...
2021.04.13 07:37綺麗に包める気持ちなわけがない|ジュンひよ「たぶんオレは地獄に行くと思うんです」 具材を餃子の皮で包んで、木の葉のかたちにしていく。 珍しく仕事も学校もないオフの日に、時間を持て余したオレが夕飯にと寮のキッチンで作り始めたところに、仕事を終えたおひいさんがやってきた。 突然のようにおひいさんは手伝いひとつもせず、オレが具材を作り、皮に包んでいるのを頬杖をついて物珍しそうに見ている...
2021.04.13 07:35昨夜の縫い目|ジョンひよ 眩しさにそっと瞳を開ける。カーテンの隙間から入った朝の日差しはすでに高く上り始めており、もう昼も近い時間らしい。 ぼくは見慣れない天井をじっと見つめながら、昨夜の出来事を反芻する。 いつも通りのEveのグラビア撮影の仕事が予想以上に押してしまって、寮から遠かったことと明日の現場がこちらに近いこともあって、急遽茨にホテルをとってもらった。...
2021.04.13 07:33きみのせい|ジョンひよ 七歳の誕生日だったと思う。 なんとなくサンタの存在について疑問を抱き始め真実が見え始める時期だった。 その頃はまだ日和も子供ながらにアニメや特撮のヒーローものを楽しんでおり、ヒーローの武器が欲しいとひっそりと祈っていた。 ところが楽しみにしていた靴下の中に入っていたのは、陶器だった。形からして花を生けるためのものだろう。 最近習い事を始...